「また値上がりするの?」最近、そんな声が増えています。2021年のウッドショック(木材不足)から始まり、半導体不足、そして今度は「ナフサショック」。住宅業界は次々と押し寄せる資材の波にさらされています。熊本で住宅の購入・リノベーションを検討中の方に、今知っておいてほしいことを整理しました。
ナフサって何?家づくりとどう関係するの?
「ナフサ」と聞いてもピンとこない方がほとんどだと思います。ナフサとは石油を精製するときに取り出される液体で、プラスチックや塗料・接着剤などの「もと」になる原料です。
「木で建てる家には関係ないのでは?」と思われるかもしれませんが、実は現代の家には石油由来の素材がいたるところに使われています。
原油
中東から輸入 |
ナフサ
石油を精製 |
化学製品
プラスチック・樹脂 |
建材
断熱材・塗料・配管 |
あなたの家
すべてに影響 |
家の中にあるナフサ由来の素材:
- 断熱材(ウレタンフォーム・ポリスチレンフォームなど)
- 水回りの塩ビ管・配管材
- 外壁塗料・シンナー
- 内装クロス・接着剤・シーリング材
- ユニットバスの壁パネルコーティング剤
なぜ今、起きているのか
2026年2月、米国・イスラエルによるイラン攻撃をきっかけに、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となりました。日本の原油輸入の約90%はこのルートに依存しており、ナフサの供給が急激に不安定化しました。
さらに深刻なのは構造的な問題です。日本のナフサ国家備蓄はゼロ(原油は約230日分あるが対象外)、代替調達先だった韓国も輸出禁止に踏み切り、日本のナフサ調達は事実上ほぼ中東一択の状態に追い込まれています。
| 時期 |
出来事 |
| 2026年2月28日 |
米国・イスラエルによるイラン攻撃。ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に |
| 2026年3月 |
ナフサ価格が急騰(封鎖前の約2倍)。大手化学メーカーが相次いで減産を発表 |
| 2026年4月上旬 |
断熱材・塗料・防水材メーカーが値上げ・受注制限を相次いで発表。TOTOがユニットバスの受注を一時停止 |
| 2026年4月10日 |
政府が備蓄原油の追加放出を決定。ただし建材向けナフサへの即効性は限定的 |
| 2026年4月20日〜 |
ユニットバス各社が段階的に受注再開。部材確保は依然不安定で納期は注文ごとに個別回答 |
「石油(ガソリン・灯油)」はとりあえず大丈夫?
| 原油(ガソリン・灯油など) |
ナフサ(建材の原料) |
約230日分
国家備蓄あり。当面の供給は確保 |
約20日分
国家備蓄の対象外。民間在庫のみ |
問題は「順番」です。備蓄原油が精製されてもガソリン・軽油などの燃料生産が優先され、家の建材の原料となるナフサへの配分は後回しになる構造です。「石油は大丈夫だけど、家を作る材料のほうが先に詰まる」のが正確な状況です。
具体的に何がどう上がっているか(2026年4月時点)
受注停止・制限されているもの
- 断熱材(旭化成建材「ネオマフォーム」など):受注制限・生産調整
- 防水材(田島ルーフィング)・ルーフィング(日新工業):一部製品で受注調整・納期未定
- 外壁塗料・下塗り材(日本ペイント):溶剤系を中心に一部受注制限
- 接着剤(三協化学):新規取引制限
- ユニットバス(TOTO・LIXIL・クリナップ):4月に一時受注停止→段階再開。部材確保は依然不安定で納期は注文ごとに回答
納期が読めない状態のもの
- 樹脂サッシ(LIXIL・YKK AP):5〜15%値上げ確定、納期は状況により長期化の可能性
- パナソニックHS:バス・トイレ全製品(アラウーノ含む全シリーズ)の納期回答を停止
- 塩ビ管・配管材(フクビ化学工業):供給・受注制限の恐れを公表
主な値上げ一覧
| 品目・メーカー |
値上げ率 |
時期 |
| 断熱材 |
| カネライトフォーム(カネカ) |
約40% |
4月出荷分〜 |
| スタイロフォーム(デュポン・スタイロ) |
約40% |
5月出荷分〜 |
| ミラフォーム(JSP) |
約40% |
6月出荷分〜 |
| ネオマフォーム(旭化成建材) |
約20%+受注制限 |
5月出荷分〜 |
| 塗料・シンナー |
| シンナー全般(日本ペイントHD) |
最大75% |
3月より |
| 外壁塗料(エスケー化研) |
10〜30% |
5月出荷分 |
| 溶剤系製品(シャープ化学工業) |
40%以上 |
4月より |
| 接着剤・シーリング |
| シーリング材・接着剤(サンスター技研) |
30%以上 |
4月より |
| 建具・サッシ・その他 |
| サッシ・ドア(LIXIL・YKK AP) |
5〜15% |
4月24日受注分〜 |
| 屋根材「リッジウェイ」(旭ファイバーグラス) |
30% |
7月1日出荷分〜 |
| 建具・床材・収納(ウッドワン) |
一律15% |
6月22日受注分〜 |
| 住宅本体 |
| 建築費全般(各工務店・ハウスメーカー) |
70〜100万円増 |
4月以降の契約分 |
断熱材——影響を受けるものと受けにくいもの
今回のナフサショックで特に注目してほしいのが断熱材です。床断熱に多く使われる押出法ポリスチレンフォーム(XPS=スタイロフォーム・カネライトフォーム・ミラフォームなど)や硬質ウレタンフォームで約40%の値上げが起きています。
| 大きく影響を受ける断熱材 |
比較的影響が少ない断熱材 |
|
押出法ポリスチレン(XPS)
スタイロフォーム・カネライト・ミラフォーム
→ 約40%値上げ
硬質ウレタンフォーム
→ 約40%値上げ・出荷制限
フェノールフォーム(ネオマフォームなど)
→ 約20%値上げ+受注制限
|
グラスウール・ロックウール
石油由来でないため影響を受けにくい。ただし需要集中で数量制限・納期調整が始まっている
セルロースファイバー
古紙が原料で石油由来成分をほぼ使わない。比較的安定
|
※床断熱においてXPSに代わる断熱材はほぼなく、グラスウールは湿気に弱く床下環境に不向きなため、この部位への影響は特に深刻です。
なお国土交通省は、発泡プラスチック系から無機繊維系・天然繊維系に変更する場合、外皮性能が維持されれば省エネ計画の変更手続き不要と明示しました。担当者に相談しやすくなっています。
今後の見通し——夏以降が本番
政府は「6ヶ月分の供給を確保している」と説明していますが、現場レベルでは既に品薄が起きています。専門家の間では2026年夏以降に価格の二次上昇(一次:原料高騰分、二次:物流・運営コスト増)が本格化するとの見方が強く、先行きはホルムズ海峡の情勢次第で「いつ終わるかわからない」状態です。
「待てば安くなる」は、もう通用しません。専門家の多くが「総額の5〜10%程度の予備費を組み込んだうえで早期に決断することが有利」と指摘しています。契約した順に材料が発注・確保されるため、待てば待つほど状況が悪化する可能性があります。
工務店の倒産リスクと施主の自衛策
今回のナフサショックは価格上昇だけでなく、工務店のキャッシュフローにも直撃します。資材コストが急騰するなかで固定価格で受注した工務店は利益が消え、最悪の場合、着工した家が未完成のまま放置されるリスクがあります。
施主として確認しておきたいこと:
- 住宅完成保証制度への加入状況を契約前に必ず確認する
- 支払いは工程ごとの分割払いにし、前払い一括は避ける
- 担当会社のSNS・ホームページの更新が止まっていないか定期的に確認する
- 見積書の有効期限とスライド条項(価格変動条項)を必ず読む
対策まとめ
- 断熱材の種類を確認し、必要であれば非石油系への切り替えを担当者に相談する
- 採用予定設備(ユニットバス等)の最新の納期状況を担当者に確認する
- 見積書の有効期限・スライド条項を必ず確認する
- 予備費として100〜200万円は手元に確保しておく
- 補助金(先進的窓リノベ・みらいエコ住宅など)を活用して値上がり分を吸収する
- 工務店の完成保証加入・支払い分割払いで万が一に備える
ナフサショックの影響を受けない方法として、工事がすでに完了しているリノベーション済み中古住宅という選択肢があります。材料不足の影響を受けず、価格も確定しているため引越し日も自分で決められます。
熊本でリノベーション済み中古住宅をお探しの方、または今の住宅価格・工期の状況について不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。知って、備えて動くだけで、得をする。今はそんな時代です。
出典:建設物価調査会・各社公表資料・国土交通省・経済産業省(2026年4月時点)をもとに作成。状況は日々変化するため、着工・発注前には担当者または各メーカーへの確認を推奨します。
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会社名・・・クラブハウスエステート
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対応エリア
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