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熊本地震でわかった、増築した家の弱点。未登記物件に潜む5つのリスク

中古住宅で前の所有者が増築した部分が未登記のままだと、建蔽率オーバーによる違法建築・住宅ローン審査への影響・床下が狭くてシロアリ対策や断熱工事ができない・屋根の形状が複雑になって雨漏りしやすい・地震への弱さ、という5つのリスクが起こり得ます。加えて2025年の建築基準法改正により、リフォーム時にこうした問題が表面化しやすくなっています。購入前に登記簿と現況の確認、床下点検、屋根の状態、耐震診断を含むインスペクションを行うことで、多くは事前に把握できます。以下で、それぞれの内容と確認方法を詳しく解説します。

なぜ増築・未登記の中古住宅が多いのか?

増築するときに法務局へ届け出る義務があることを知らないまま、増築してしまうケースが多いためです。平屋を2階建てにする、リビングを広げる、サンルームや離れを建てる、屋根裏をロフトにするといった工事は、いずれも法律上は「増築」にあたり、本来は登記が必要です。

📊 未登記につながりやすい増築の例
  • リビングやキッチンを外側に広げた
  • サンルームや離れを建てた
  • 屋根裏やロフトを部屋として使えるようにした
  • 昔ながらの工法で、平屋の上に2階部分を継ぎ足した(築年数の古い物件に多い例)

親から相続した実家を売りに出そうとしたら、先代が増築した書斎部分が未登記で、しかも建蔽率・容積率をわずかに超えていた、という相談事例も実際に報告されています。売主自身が「登記されていない」ことに気づいていないケースも少なくありません。

増築で建蔽率オーバーになるとどうなる?

建蔽率・容積率を超えると、その建物は「違法建築」として扱われる可能性があります。その結果、住宅ローンの審査や将来のリフォームに影響が出ることがあります。

📊 建蔽率・容積率とは
  • 建蔽率:敷地面積に対して、建てられる建物の「広さ(1階部分の面積)」の上限のこと
  • 容積率:敷地面積に対して、建てられる建物の「延べ床面積(各階の合計)」の上限のこと

どちらも、その土地にどれくらいの大きさの建物を建てて良いかを決めるルールで、増築によって床面積が増えると、この上限を超えてしまうことがあります。

建蔽率オーバーで起こりうること

項目 起こりうること
住宅ローン 増築部分を含めて建蔽率・容積率をオーバーしている場合、金融機関の審査に通らないことがある。ローンを組むために、超えている分の床面積を一部解体(減築)して基準内に収めることを求められる場合もある
将来の建て替え・増改築 現在の建蔽率に収まるまで、減築や物置の撤去が必要になる場合がある
所有権・税金 増築部分の権利関係が不明確なままトラブルになったり、固定資産税を後から追徴される場合がある
⚠ 注意点

建築当時は基準を満たしていても、後から法律が変わって基準オーバーになった「既存不適格」の建物であれば、住み続けること自体は可能です。ただし、増築によって自ら基準を超えてしまった場合は「違反建築」となり、話はまったく別です。同じ「建蔽率オーバー」でも、原因によって対応がまったく違う点を押さえておきましょう。

増築で床下が狭いと、シロアリ対策や断熱工事はできない?

床下の高さが十分でない場合、シロアリの点検・駆除や断熱材の交換を業者に断られることがあります。増築部分は、もとの建物の基礎の高さに合わせて無理に作られることが多く、床下の高さがわずか15センチほどしかなく、作業員が体を入れて点検すること自体ができない、という事例も報告されています。

床下が狭いと、具体的に何が困るのか

シロアリ対策への影響

  • 床下に入れず、点検や薬剤処理を業者に断られることがある
  • 被害があっても発見が遅れ、床上に達してから気づくことも

断熱工事への影響

  • 狭い空間での断熱材の入れ替え作業が難しい
  • 木材に密着させるタイプの断熱材だと、下地のシロアリ被害を目視で確認できないこともある
💡 ワンポイント

床下に入れない場合でも、点検口を新設したり、部分的に床を開けて処理したりする方法はあります。ただし、これは購入後に追加費用がかかる工事になりますので、「床下に入れる高さがあるかどうか」は、内覧の段階で確認しておきたいポイントです。

増築で屋根の形状が複雑になり、雨漏りしやすくなる?

はい。増築によって屋根の面が増えたりぶつかり合ったりすると、つなぎ目が多くなり、雨漏りのリスクが高くなります。もともと平屋やシンプルな屋根だった建物に増築を重ねると、屋根の一部を継ぎ足したり、違う角度の屋根をくっつけたりすることになり、屋根の形が複雑になりがちです。

なぜ屋根の形が複雑だと雨漏りしやすいのか

屋根は面と面がぶつかる部分(谷・棟・壁との取り合いなど)が多いほど、雨水の通り道が増え、施工の難易度も上がります。特に、複数の屋根から雨水が集まる「谷」の部分は、通常の屋根面より水量が多くなりやすく、金属板の納まりが甘いと雨水が下地に入り込みやすい場所です。屋根がシンプルな形であるほど雨漏りに強く、複雑になるほどリスクが上がるという傾向は、屋根専門業者の間でもよく知られています。

💡 内覧でチェックしたいポイント

外から見て、屋根の一部だけ色や素材が違っていたり、屋根と屋根がぶつかる部分(谷)が複数あったりする場合は、増築によって屋根形状が複雑になっているサインです。天井にシミがないか、増築部分の境目あたりを重点的に確認しておくと安心です。

増築した家は地震に弱くなる?

増築によって建物の形や重さのバランスが崩れると、もとの建物では十分だった耐震性が下がることがあります。家の地震への強さは、壁の量だけでなく「壁がバランスよく配置されているか」「建物の重さが偏っていないか」にも大きく左右されます。

📊 熊本地震の被害調査からわかったこと

熊本地震(平成28年)の被害調査では、増築した建物について「もとの建物と増築部分とで耐震性に差があることで、その境目から壊れる」ケースが指摘されています。増築部分をもとの構造とうまく一体化できていなかったり、逆に独立させる処理が不十分だったりすると、地震の揺れに対して弱点になりやすいということです。

熊本は震度7を2度観測した地震を経験した土地です。増築歴のある中古住宅を検討するときは、「もとの建物」と「増築部分」の境目がどう処理されているか、専門家の目で確認しておくことを特におすすめします。

2025年の法改正で、未登記増築が表面化しやすくなった?

2025年4月の建築基準法改正により、多くの木造2階建て住宅で、大規模なリフォームや増築の際に建築確認申請が必要になったため、未登記や建蔽率オーバーが表面化しやすくなりました。これまで「4号特例」という制度により、木造2階建て住宅の多くはリフォームや増改築でも確認申請が不要とされてきました。

📊 4号特例の縮小で変わったこと

2025年4月から、多くの木造2階建て住宅は「新2号建築物」という区分に変わり、大規模な修繕・模様替え・増改築を行う際には、原則として建築確認申請が必要になりました。この申請では、増築する部分だけでなく、建物全体が現在の建築基準法に適合しているかどうかが確認されます。

増築・未登記物件にとって、具体的に何が困るのか

⚠ 注意点

これまで見過ごされてきた未登記部分や建蔽率オーバーが、次にリフォームや増築をしようとしたタイミングで表面化しやすくなります。その場合、希望していた工事の前に、まず既存の違反状態を是正する工事が必要になり、想定より費用や期間が膨らむ可能性があります。「これまで確認申請が不要だったから問題にならなかった」物件ほど、今後は注意が必要になったといえます。

増築・未登記の中古住宅購入前に何を確認すればいい?

登記簿と現況の照合、床下点検口からの確認、耐震診断を含むインスペクションの3つが基本です。それぞれの具体的な方法は次の通りです。

① 登記簿と現況を照らし合わせる

法務局で取得できる登記事項証明書の床面積と、実際に見学した建物の広さを比べてみましょう。数字が一致しない場合は、未登記部分がある可能性が高いです。

② 床下点検口から実際にのぞいてみる

内覧の際に、床下点検口がどこにあるか、実際に開けて中を見せてもらえるかを確認しましょう。特に増築部分の床下は、もとの建物と高さが異なることが多いポイントです。

③ 耐震診断を含めたインスペクションを依頼する

購入前に、専門家による建物診断(インスペクション)を受けることで、建蔽率の状況・床下の状態・耐震性のバランスをまとめて把握できます。増築歴のある物件ほど、この一手間が安心につながります。

④ 屋根の形状と雨染みの跡を確認する

建物の外に出て、屋根の面がいくつあるか、色や素材が違う部分がないかを見てみましょう。増築部分の天井や壁の際に、雨染みやカビの跡がないかも合わせて確認しておくと安心です。

よくある質問

Q. 増築・未登記の中古住宅でも住宅ローンは組めますか?

A. 金融機関によりますが、引き渡しまでに増築部分の登記を済ませることを条件とされるケースが多くあります。建蔽率・容積率オーバーの程度が大きい場合は、融資自体が難しくなることもあります。

Q. 未登記の増築部分は、購入後に自分で登記できますか?

A. 可能ですが、建蔽率・容積率をオーバーしている場合は、そのままでは登記できないことがあります。まずは土地家屋調査士に現況を確認してもらうのが確実です。

Q. 床下に入れない家でも、シロアリ対策の方法はありますか?

A. 点検口を新設したり、部分的に床をはがして処理したりする方法があります。ただし追加費用がかかるため、購入前に床下の状態を確認しておくことをおすすめします。

Q. 増築した家の耐震性は、見た目でわかりますか?

A. 見た目だけでの判断は難しく、専門家による耐震診断が必要です。特にもとの建物と増築部分の境目部分は、書類上の図面だけでなく現地での確認が重要です。

Q. 増築で屋根の形が複雑な家は、購入を避けたほうがいいですか?

A. 必ずしも避ける必要はありません。複雑な屋根形状そのものより、雨染みの有無や、谷の部分の施工状態を確認することが重要です。気になる場合は、屋根の専門業者に点検してもらうと安心です。

Q. 2025年の法改正は、すでに持っている家にも影響しますか?

A. 今すぐ何かを求められるわけではありません。ただし、今後その家で大規模なリフォームや増築を計画したタイミングで、建築確認申請を通じて未登記部分や建蔽率オーバーが表面化しやすくなる点に注意が必要です。

まとめ:増築歴のある物件こそ、事前診断が安心のカギ

増築・未登記の物件は、必ずしも「買ってはいけない物件」というわけではありません。登記を済ませたり、必要な補強工事を行ったりすれば、安心して住み続けられる家になります。大切なのは、購入前に「どこが増築されているのか」「どんな影響があり得るのか」を知ったうえで、納得して選ぶことです。

Clubhouse Estateは、熊本の中古住宅リノベーションを専門に数多くの物件を見てきた実績があり、土地家屋調査士や耐震診断士とも連携しながら調査を行っています。建蔽率の確認から床下調査、耐震診断まで含めたご相談を、契約前の段階からお気軽にお寄せください。

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